防水形絶縁被覆付ピン端子の選び方と使い方ガイド(イラストガイド付き)
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防水形絶縁被覆付ピン端子とは

防水形絶縁被覆付ピン端子とは、電線同士を接続するために使用する、防水・防塵機能を備えた端子です。製品内部にはピン状の端子があり、絶縁被覆内部には熱可塑性エラストマー製のワイヤーシールが組み込まれています。ワイヤーシールが電線被覆の外周と勘合部(オス端子とメス端子の接続部)に密着することで、端子の絶縁被覆内部への水やホコリなどの侵入を防ぎます。
端子と絶縁被覆が一体型になっているため、追加の部品準備が不要です。自動車やバイクの補修用途では、エンジンルーム内や車外配線など、水や湿気、ホコリの影響を受けやすい場所で使用されます。
但し、防水性能を十分に発揮させるためには、使用する電線の芯線サイズだけでなく電線被覆外径も製品の適合範囲内であることを確認のうえ、必ず専用工具を使用して正しく圧着する必要があります。製品の仕様および使用条件を確認したうえで使用してください。
(製品使用例)[イメージ]


防水形絶縁被覆付ピン端子をご使用されるはじめての方へ

はじめての方へ
初めて防水形絶縁被覆付ピン端子を使用される場合でも、以下のポイントを順番に確認することで、迷わず選ぶことができます。

- 電線の太さ(sq / mm²)
→ 使用する電線のサイズを確認します。
(例:AV1.25sq、AV2.0sq など) - 電線被覆外径の確認
→ ワイヤーシールは電線被覆の外周に合せて密着するため、被覆外径が小さすぎれば隙間が生じ、大きすぎれば正しく挿入できないため、防水性能を十分に発揮できない可能性があります。 - 端子を圧着する(かしめる)適用工具
→ 防水形圧着スリーブに対応した圧着工具を確認します。
防水形絶縁被覆付ピン端子は、サイズや用途を誤ると、抜け・発熱・ショートの原因になることがあります。そのため、電線の太さ・適用工具・使用環境を事前に確認することが重要です。
防水形絶縁被覆付ピン端子 絶縁被覆の材質(ナイロン66)について
ナイロン66の特長
ナイロン66(PA66)は、ナイロンと呼ばれるポリアミド(PA)系樹脂の一種です。機械的強度が高く、摩擦や摩耗に強いほか、比較的高い融点を持ち、耐熱性にも優れています。これらの特長から、自動車部品や電気・電子部品など、強度や耐熱性が求められるさまざまな用途に使用されています。

【出典】
「ポリアミドってどんなプラスチック?やさしく解説します!」(一般社団法人プラスチック循環利用協会)
https://www.pwmi.jp/library/library-1636/(参照:2026-09-01)
「ナイロン系複合材料の低温リサイクル技術」(タンクス ジョナサン デビッド・田村堅志、国立研究開発法人物質・材料研究機構)
https://doi.org/10.48505/nims.6043(参照:2026-09-01)
「電気・電子用途のエンジニアリングプラスチック」(西谷要介・電気学会誌 第140巻 第1号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejjournal/140/1/140_32/_article/-char/ja/(参照:2026-09-01)
防水形絶縁被覆付ピン端子 端子部の材質について
黄銅の特長
銅に亜鉛を加えて作られる合金で、JIS規格では亜鉛を30%以上含むものを黄銅(おうどう)と規定しています。銅は金属の中でも数少ない有色金属であり、他の金属と合金化することによって、赤み・黄色・白色など多様な色調を示すのが特徴です。
銅に亜鉛を添加して得られる黄銅は黄金色の光沢を持ち、一般に「真鍮(しんちゅう)」または「ブラス(brass)」とも呼ばれます。身近な例としては、五円硬貨、トランペットやサックスなどの管楽器、水道金具のほか、自動車のラジエーター部品や各種端子等にも幅広く利用されています。

Cu-Zn系合金(黄銅)
【出典】
一般社団法人日本伸銅協会・一般社団法人日本銅センター.『伸銅品』(PDF). https://www.jcda.or.jp/publication/pamphlet/pdf/shindouhin_kaitei_20211130%20%282%29.pdf (参照 2026-09-01)
【参考文献】
大澤 直『図解入門 よくわかる最新「銅」の基本と仕組み』秀和システム,2010年,pp.11,106–107.(ISBN 978-4798026725)
端子部に使用される黄銅のスズメッキ処理について
端子の素材は黄銅です。黄銅は大気中での酸化・硫化により表面が変色し、接触抵抗の上昇や導電性の悪化を引き起こす可能性があります。これを抑えるため、メッキ処理によりメッキ皮膜を形成して基材を保護し、長期にわたり導電性の安定化と耐食性の両立を実現します。

スズメッキ
スズメッキは導電性を長期にわたり安定して維持が出来るのが特長です。表面に形成されるメッキ皮膜が酸化・硫化を抑制し、安定した導電性と耐食性を確保します。電気機器部品をはじめ、幅広い用途で採用されています。
RoHS2指令について
RoHS(ローズ)指令とは、EU(ヨーロッパ連合)が定めた「電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する規制」です。鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr⁶⁺)、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)、フタル酸エステル類など、環境や人体に悪影響を与える物質の使用を厳しく制限されております。
2006年に施行されて以来、EU域内で広く適用され、その後さらに規制対象を拡大したものが「RoHS2指令」です。ヒーロー電機の防水形絶縁被覆付ピン端子はRoHS2指令に適合しており、自動車補修の現場でも安心してお使いいただけます。また、環境に配慮した製品を通じて、持続可能な未来の実現にも貢献してまいります。

RoHS2(Restriction of Hazardous Substances Directive)指令は、電気・電子機器およびそれらの部品における特定の有害物質の使用を制限するための欧州連合(EU)の指令です。RoHS2指令は、環境および人体への有害な影響を軽減することを目的としています。
RoHS2指令の対象物質は以下の10種類です。
- 鉛(Lead)
- 水銀(Mercury)
- カドミウム(Cadmium)
- 六価クロム(Hexavalent Chromium)
- ポリ臭化ビフェニル(Polybrominated Biphenyls、PBBs)
- ポリ臭化ジフェニルエーテル(Polybrominated Diphenyl Ethers、PBDEs)
- フタル酸ジイソブチル Diisobutyl phthalate、DIBP)
- フタル酸ジ-n-ブチル (Dibutyl phthalate、DBP)
- フタル酸ブチルベンジル (Butyl benzyl phthalate、BBP)
- フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (Bis(2-ethylhexyl) phthalate、DEHP)
これらの物質は環境への悪影響があると認識されており、特に廃棄物処理時に有害物質が漏れ出すことで土壌や水源に浸透し、生態系や人の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
防水形絶縁被覆付ピン端子 防水構造について
防水ピン端子の両端には、熱可塑性エラストマー製のワイヤーシールが組み込まれています。ワイヤーシールが電線被覆の外周と勘合部(オス端子とメス端子の接続部)に密着することで、端子絶縁被覆内部への水の侵入を防ぎ、接続部を保護します。
防水性能を確保するためには、端子に適合する芯線サイズに加え電線被覆外径も必ず確認し、電線を所定の位置まで差し込んだうえで、専用の圧着工具(品番:NH-64)を使用して正しく圧着することが重要です。


熱可塑性エラストマーとは
熱可塑性エラストマー(TPE)とは、ゴムのような柔軟性・弾性と、プラスチックのような加工性を両立する材料です。
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A-202B・A-201B 接続時の断面イメージ
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参考資料
名古屋工業大学・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「結合組み替え技術を導入した新規熱可塑性エラストマーの開発~次世代ゴム材料への展開に期待~」(2024年9月4日)
[国立大学法人 名古屋工業大学様 公式ページ]
https://www.nitech.ac.jp/news/press/2024/11401.html
[国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)様 公式ページ]
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240904/index.html
防水形絶縁被覆付ピン端子 製品ラインナップ
防水形絶縁被覆付ピン端子 製品ラインナップ
| 写真 | 製品寸法図 | 品番 | 各部寸法 | 規格・仕様 | 適用工具 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 内径 | 全長 | 勘合部の長さ | 電線抱合範囲(撚線) | 電線被覆外径 | ||||
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A-201 | φ7.4mm | 27.7mm | 16.5mm | 0.75mm2~1.25mm2 | φ2.6mm~φ3.2mm | NH-64 |
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A-202 | φ6.9mm | 26.2mm | 15.0 | 0.75mm2~1.25mm2 | φ2.6mm~φ3.2mm | NH-64 |
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A-201B | φ7.4mm | 27.7mm | 16.5mm | 2.0mm2 | φ3.0mm~φ3.6mm | NH-64 |
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A-202B | φ6.9mm | 26.2mm | 15.0mm | 1.04mm2~2.63mm2 | φ3.0mm~φ3.6mm | NH-64 |
防水形絶縁被覆付ピン端子用 圧着工具の使用方法
防水型端子圧着工具 NH-64
圧着範囲:1.25mm2~2.00mm2
全長:180mm
質量:0.255kg
※画像をクリックすると、イラストガイド付きで詳しい施工手順が表示されます。
防水型端子圧着工具 NH-64
圧着範囲:1.25mm2~2.00mm2
全長:180mm
質量:0.255kg
※画像をクリックすると、イラストガイド付きで詳しい施工手順が表示されます。
手順1 使用する電線に適合する防水形絶縁被覆付ピン端子を選定し、端子を適切な位置にセットし、動かない程度に軽く挟む(※圧着位置がずれると、電線が抜けたり、正しく圧着できない場合があります)

手順2 適切な長さに被覆を剥いた電線を挿入する(※電線の芯線が端子の圧着部先端から少し(約1mm程度)出ている事を確認してください)


手順3 芯線と圧着の位置を確認後、芯線のズレや抜けに注意しながら、圧着工具のグリップをしっかりと握り込み、ラチェット機構が解放されるまで圧着する。圧着が完了すると工具が開く。(※指や他の配線の挟み込み等が無いか、必ず周囲を確認してから作業してください)



ラチェット機構とは
動きを歯型(ギア)等を用いて一方向に制限する機構を指します。
圧着工具で採用されているラチェット機構は、毎回均等の圧がかけられるよう端子の圧着途中でグリップが元の位置に戻らないように制限されます。
グリップを所定の位置まで握り込み圧着が完了するとラチェット機構が解放され、グリップが元の位置に戻ります。
手順4 圧着した端子の圧着部仕上がりを確認する(※電線の抜け、芯線のはみ出し、絶縁被覆のキズや破れ、圧着不足がないかを確認してください)

|豆知識|端子の色から使用する歯型を確認できます。
|豆知識|端子の色から使用する歯型を確認できます。
端子の樹脂部分の色(絶縁被覆色)に合わせて、圧着工具(NH-64)の歯型を選びます。
赤色の端子 →「1.25」の歯型
青色の端子 →「2.0」の歯型
例①:A-201の場合
赤色 →「1.25」の歯型を使用
例②:ACF-2の場合
青色 →「2.0」の歯型を使用
よくあるお問い合わせ
防水形絶縁被覆付ピン端子とはどのような製品ですか?
防水形絶縁被覆付ピン端子は、電線同士を接続する製品で、内部はピン状の端子を採用、外側は絶縁被覆に覆われた一体化構造に防水処理が施され、水やホコリなどの侵入を防止できる仕様となっています。
自動車やバイクなどの補修用途において、防水形絶縁被覆付ピン端子はどのような場面で使われますか?
自動車やバイクではエンジンルーム内や車外等で、主に水や湿気、ホコリなどが影響する環境で使用されます。
防水形絶縁被覆付ピン端子を使用する際に注意すべきことはありますか?
防水形絶縁被覆付ピン端子をご使用される際には、以下の点にご注意してください。
- 端子を圧着する際には必ず適用工具を使用し、しっかりと圧着(かしめ)を行ってください。(※適用工具以外で圧着した場合、絶縁体が破れ防水性能を得られません。)
- 端子の圧着後は、電線を軽く引いて抜けないか必ず確認をしてください。
通常のピン端子と防水形絶縁被覆付ピン端子の違いは何ですか?
両製品の違いは「防水」および「防塵機能」の有無です。
- 防水形絶縁被覆付ピン端子は、電線被覆外径を含む適合電線サイズ・適用工具を確認したうえで使用してください。サイズ違い、圧着不足、適用外工具の使用は、電線の抜け・発熱・ショート・防水性能低下の原因になるおそれがあります。
- 自動車・バイクなどの電装配線で作業する場合は、作業前に必ずバッテリーを外してください。





