ギボシ端子 Q&A 困ったときの解決ガイド


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このページは、はじめてギボシ端子を選ばれる方や、使い方を知りたい方向けに作られております。

このQ&Aは、1968年創立の自動車補修用電装部品専門メーカーとして、半世紀以上にわたり自動車整備に携わるプロフェッショナルより厚い信頼を寄せられてきたヒーロー電機が、長年の知見に基づきギボシ端子についてわかりやすくまとめたものです。

ギボシ端子 Q&A [基本編]

ギボシ端子とは何ですか?

電線と電線を繋ぐ際に電線に取り付ける端子の一種です。必要に応じて外すこともできますが、外す頻度が高い場合はコネクタ(カプラー)接続をお勧めいたします。

【豆知識】ギボシ端子 名前の由来について
神社や寺院などの橋や階段の手すりの柱などの先端にあるタマネギの形に似た飾りを「擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうしゅ)」といいます。オス端子の先端がその形に似ていることから和名では「ギボシ端子」と呼ばれております。

ギボシ端子(オス)とギボシ端子(メス)はどう使い分けるのですか?

基本的に電源側(車両から電気が流れてきている電線)にギボシ端子(メス)、負荷側(取付ける機器の電線)にギボシ端子(オス)を使うことが多いですが、絶対的なルールはありません。しかし重要なのは電源側が金属部分等に触れてショートする事が無いようにする点や、端子同士が確実に噛み合い抜けにくい状態を作ることです。

※ギボシ端子(メス)用絶縁スリーブは端子全体を覆っているため、メス端子を電源側に使用することで、不意に金属部分等に触れた際でもショートする可能性を低減することができます。

ギボシ端子には種類がありますか?

先端部形状の大きさ(ギボシ端子(オス)・ギボシ端子(メス)のサイズ差など)と、表面のメッキの種類に違いがあります。

先端部形状の大きさ

ギボシ端子は日本工業規格 [現・日本産業規格] (JIS)「自動車用電線端子(JIS D 5403)」に基づき、先端の形状、ならびに寸法が定められております。ヒーロー電機ではJIS規格に準拠した2サイズのギボシ端子をご用意しております。

【標準タイプ】品番:B-1/B-2シリーズ

主に自動車などで多く使用されているサイズのギボシ端子です。

ギボシ端子(オス)
品番:B-1

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ギボシ端子(メス)
品番:B-2

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【小サイズタイプ】品番:B-41/B-42シリーズ

主に二輪車などで多く使用されており、標準タイプに比べ先端部が一回り小さいサイズのギボシ端子です。

ギボシ端子(オス)
品番:B-41

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ギボシ端子(メス)
品番:B-42

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※両シリーズは互換性がなく、B-1とB-42、B-41とB-2といった組み合わせではご使用することはできません。必ず適合する端子を事前にご確認のうえ、ご使用ください。

メッキの種類

ヒーロー電機では「スズメッキ」と「金メッキ(24Kメッキ)」の2種類をご用意しております。

【スズメッキ】品番:B-1/B-2、B-41/B-42

自動車のワイヤーハーネスに使用されている一部の端子をはじめ、エアコンや冷蔵庫などの家電製品の内部配線および産業機器の制御盤に使用されている一部の端子など、幅広い分野で採用されております。酸化・腐食による導電性低下を防止することを目的とし、導電性に優れ、かつ比較的安価であることから、一般的に多く用いられているメッキです。

【金メッキ】品番:B-1-24K/B-2-24K ※金メッキは標準サイズのみ

金は美しい外観のみならず酸化や腐食に強く、長期間にわたり安定した導電性を保ちます。なお、金メッキは、自動車のエアバッグなどの重要保安部品の端子やコンピューターなどの精密電子機器、半導体製造装置や測定機器部品にも使用され、信頼性が求められる分野でも採用されております。また、オーディオ機器の分野においても、接触抵抗の低さと耐久性から用いられています。ヒーロー電機では金メッキのなかでも金の純度が高い24Kメッキを採用しております。

ギボシ端子(オス)金メッキ
品番:B-1-24K

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ギボシ端子(メス)金メッキ
品番:B-2-24K

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ギボシ端子のサイズやメッキの種類はどのように選べばいいですか?

特に決まりはありませんが、接続機器や設置スペースに合わせて選びます。ヒーロー電機では2種類のメッキと2サイズのギボシ端子を用意しています。なお、必ず「適合電線サイズ」と「適合品番」を事前にご確認のうえ、ご使用ください。

ギボシ端子を圧着する(かしめる作業)には、圧着工具(電工ペンチ)は別途必要ですか?

圧着工具(電工ペンチ)は必ず別途必要です。端子に適した工具を使用することで、電線とギボシ端子を確実に圧着(かしめ)し、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を安定的に固定できます。これにより、通電の信頼性を長期的に確保できます。

なお、圧着工具には、端子の圧着部を適切な形状(なめらかなM字形)で圧着できる専用の歯型が備えられています。一方で、一般的なペンチなどでは適切な形状で圧着できず、接触不良や電線の抜けといった不具合の原因になります。

ギボシ端子を使用する際に、絶縁処理は必ず必要ですか?

安全のため、絶縁処理は必ず実施してください。絶縁処理をしていない場合、ギボシ端子が金属部分等に触れてショートの原因になります。

ヒーロー電機では絶縁処理を目的に絶縁スリーブを使用することを推奨しております。なお、絶縁スリーブを使用する際には、必ずギボシ端子と電線に適合した絶縁スリーブ使用してください。

※絶縁テープによる絶縁処理も可能ですが、後の点検時や脱着時にテープをはがしたり巻き直す必要があります。絶縁スリーブであればその手間を省くことができます。

ギボシ端子用の防水型絶縁スリーブ(品番:B-3W/B-4W・B-3WS/B-4WS・B-3WL/B-4WL)の特長を教えてください。

ヒーロー電機が製品ラインナップをしておりますギボシ端子用防水型絶縁スリーブ(品番:B-3W・B-3WS・B-3WL)[オス端子用]、(品番:B-4W・B-4WS・B-4WL)[メス端子用]は内部構造が立体的な形状となっており、「電線」および嵌合相手の「防水型絶縁スリーブ」が互いに密着することで外部からの水の侵入を防ぐことができ、通常の絶縁スリーブ(品番:B-3/B-4)に比べて防水性を高めた設計になっております。

⚠️完全防水ではないため、水没状態(液体中に浸るような環境)ではご使用頂けません。防滴程度の性能としてご使用ください。

⚠️適用する電線被覆外径が一致しない場合、本来の防水性能を得られません。必ずご使用される電線被覆外径に適した防水型絶縁スリーブを事前にご確認のうえご使用ください。

一度、圧着(かしめる作業)したギボシ端子が抜けた場合に再利用はできますか?

既に圧着(かしめる作業)を行ったギボシ端子の再利用はできません。既に変形した端子では適切な圧着ができず、接触不良や緩みの原因になります。変形した端子は再利用せず、新しいギボシ端子に交換して再圧着(かしめ直し)してください。

⚠️ギボシ端子が抜けた部分の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)に傷や損傷がある場合には、電線も傷や損傷のない(新たに被覆をむいた)芯線部分をご使用されることを推奨いたします。

ギボシ端子と他の接続方法(半田付けやカプラー接続)との違いについて教えてください。

ヒーロー電機のギボシ端子(品番:B-1・B-2)は、自動車補修部品<専用>として設計開発を行っており、電線を一本ずつ容易に挿抜(脱着)できることが最大の特徴です。また、仕上りが比較的スリムなため、狭い場所でも使用することができます。

半田付けは強固で仕上りもスリムですが、取り外すことは容易にはできません。また、自動車の走行時の振動に対しては、信頼性に欠けます。(振動により半田部に亀裂や破断が発生し、接触不良や断線のリスクがあります。

コネクタ(カプラー)接続は脱着が比較的簡単で、かつ配線が多い際には系統ごとにまとめたり、再接続時に配線を間違えることを防止することができます。ただし、配線(極数)が増えるとコネクタ(カプラー)が大きくなり、設置場所のスペースを必要とする場合があります。用途に応じて使い分けることを推奨いたします。

※ギボシ端子は入手性の良さも魅力です。量販店やインターネット通販などでも販売されていますが、ヒーロー電機製のギボシ端子にはこだわりが随所に詰まっています。詳しくは特設ページをご覧ください。

【特設ページ】自動車補修用ギボシ端子 for Professional | ヒーロー電機株式会社|1968年創立・自動車補修用電装部品専門メーカー
https://hem.co.jp/special-b1-b2

ギボシ端子を電線により強く固定させるため、半田付けをしたらダメなのですか?

半田付けは一見すると強固に固定できる方法ですが、自動車は走行時に常に振動が発生します。半田で固められた電線はしなやかさを失い、振動によって金属疲労が蓄積し、最悪の場合は半田部分が折れ断線する恐れがあります。ギボシ端子やコネクタ(カプラー)などの専用端子と圧着工具を用いた接続が基本とされております。

ギボシ端子 Q&A [実践編]

ギボシ端子の圧着(かしめる作業)では、どの部分を圧着するのですか?

ギボシ端子には、電線を固定するための「バレル」と呼ばれる部分が2か所あります。

・ワイヤーバレル
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を強く圧着(かしめ)し、電気的な導通を確保します。

・インスレーションバレル
電線の被覆(絶縁体)を押えるように軽くつぶし、ワイヤーバレル部にかかる引っ張る力や振動を吸収・軽減します。

「ワイヤーバレル」および「インスレーションバレル」の2か所を正しく圧着(かしめる作業)することで、安定した電気接続と機械的な固定が両立されます。

電線の被覆はどのくらい剥(む)けばよいですか?

ギボシ端子のかしめ部(ワイヤーバレル)に対して+1.0mm~1.5mm程度を目安に剥(む)いてください。長すぎても短すぎても不具合の原因になります。

被覆をむいた電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱うときの注意点はありますか?

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱う際には以下の点に注意してください。

・芯線を素手で長時間触れないこと
手の汗(塩分)や皮脂(油分)、汚れなどが付着すると、時間の経過とともに酸化や腐食が進み導通不良などの原因となります。(10円硬貨と同じです)

・できるだけ早くギボシ端子に差し込む
被覆を剥(む)いた電線の芯線はできるだけ触らず、すぐにギボシ端子に差し込み、圧着工具で圧着(かしめ)してください。

⚠️芯線がばらけた場合の整え方
芯線が少しばらけたら、軽く指で揃える程度であれば触れても問題ありません。大切なのは、芯線をギボシ端子にまっすぐ挿入できる状態に整えることです。

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじって(ツイストして)まとめたり、折り曲げてもよいですか?

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじるのは避けてください。均一に圧着(かしめる)できず、芯線をねじったり折り曲げると、圧着(かしめる)作業の際にワイヤーバレルが芯線を傷つけたり切ってしまう恐れがあり、接触不良や断線の原因になります。また、ギボシ端子の内部で芯線が偏ると均一に圧着(かしめ)できず、抜けやすくなる恐れもあります。芯線はまっすぐに揃えて端子へ差し込み、圧着工具で正しく圧着(かしめ)してください。

絶縁スリーブはどのタイミングで通すのですか?

特に決まりはありませんが、ギボシ端子を圧着(かしめる作業)前に電線に通すようにしてください。おすすめは(電線切断後)絶縁被覆を剥く(むく)前に予め通すことで、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)がばらける心配がありません。

【ご参考】
通常の絶縁スリーブではギボシ端子の圧着後では通しにくくなりますが、圧着後からでも通すことができる後入れタイプの絶縁スリーブ(品番:B-3A・B-3AL・B-4A・B-4ALもご用意しております。

配線(電線)が短く、通常のギボシ端子用絶縁スリーブを入れられない場合はどうすればよいですか?

通常のギボシ端子用絶縁スリーブは、端子の圧着(かしめる作業)を行う前に、あらかじめ電線に通しておく必要があります。配線(電線)が短く通常の絶縁スリーブを通すことが困難な場合には「後入れタイプ」の絶縁スリーブ(品番:B-3A/B-4A、B-3AL/B-4AL)が便利です。名前の通り、ギボシ端子を圧着(かしめ)した“後から”差し込める仕様になっており、既に圧着済みの端子に絶縁スリーブを追加したい場合には有効です。

ギボシ端子 Q&A [品質編]

自動車用のギボシ端子は公的な規格や仕様など定められているのですか?

自動車で使用されるギボシ端子はJIS規格(日本産業規格) 「自動車用電線端子」 (JIS D 5403)に基づき、先端部の形状や寸法が定められております。

ギボシ端子の素材には「黄銅」を採用されておりますが、黄銅には種類があるのでしょうか?

黄銅にはいくつか種類がありますが、ヒーロー電機ではギボシ端子の素材として銅成分が一番多い「黄銅1種材」(JIS C2600) を採用しております。

ギボシ端子の許容電流はどれくらいが目安ですか?

ギボシ端子自体には許容電流値は定められておりません。使用する電線の許容電流値に準拠しております(※ギボシ端子の適用電線サイズに限る)。ご使用される電線メーカーの許容電流値をご確認ください。

YouTube(整備士も間違えるギボシ端子の正しい交換方法をプロが教えます)

YouTubeチャンネル「メカニックTV」様による、ギボシ端子の圧着方法(かしめ作業)をわかりやすく解説した動画です。初めて作業される方にも理解しやすい内容となっておりますので、上記のギボシ端子「Q&A」とあわせてぜひご覧ください。

(YouTubeチャンネル「メカニックTV」様 掲載許諾済)