熱収縮チューブの選び方と使い方ガイド

熱収縮チューブの選び方と使い方ガイド


↓ 標準タイプ (非防水) ↓ 防水タイプ ↓ 防水・高収縮タイプ

このページは、はじめて熱収縮チューブを選ばれる方や、使い方を知りたい方向けに作られております。

熱収縮チューブとは

熱収縮チューブは、車やバイクなどをはじめ、家電製品、産業機械、電子機器の内部配線など、さまざまな場所で使われており、自動車の配線では主に電線や端子、コネクタなどを保護する目的で使用されます。

熱収縮チューブの特徴として、熱を加えることでチューブが縮む際に対象物の形状に沿って縮む性質を持っています。この性質ににより電線接続部分等に対して絶縁や防塵(ほこりを防ぐ)、耐擦過性(摩擦や擦れ)、また製品仕様によっては防水性能などの保護機能を付加することができます。

他にも電線をまとめたり、目印として色分けする用途などにも使うこともできます。

※熱により収縮した後は元の形状に戻りません。

(製品使用例)

熱収縮チューブの材質について

電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂の特長

(1)柔軟性に優れ、収縮後もしなやかに配線へ密着
(2)電子線架橋により耐熱性・耐候性が向上
(3)絶縁性が高く、低温環境でも柔らかさを保持


電子線架橋半硬質難燃性ポリオレフィン樹脂の特長

(1)半硬質で機械的強度に優れ、擦れや圧力に強い
(2)難燃性を付与、製品自体に自己消火性がある
(3)電子線架橋により耐熱性・耐候性・絶縁性をさらに強化

[出典]:プラスチック材料の基礎知識(一般社団法人プラスチック循環利用協会)
https://www.pwmi.or.jp/plastic/plastic_02.html
塑性加工学会誌 Vol.58, No.675, 2017

RoHS2指令について

RoHS(ローズ)指令とは、EU(ヨーロッパ連合)が定めた「電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限する規制」です。鉛(Pb)、水銀(Hg)、カドミウム(Cd)、六価クロム(Cr⁶⁺)、ポリ臭化ビフェニル(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)、フタル酸エステル類など、環境や人体に悪影響を与える物質の使用を厳しく制限されております。

2006年に施行されて以来、EU域内で広く適用され、その後さらに規制対象を拡大したものが「RoHS2指令」です。ヒーロー電機の熱収縮チューブはRoHS2指令に適合しており、自動車補修の現場でも安心してお使いいただけます。また、環境に配慮した製品を通じて、持続可能な未来の実現にも貢献してまいります。

RoHS2(Restriction of Hazardous Substances Directive)指令は、電気・電子機器およびそれらの部品における特定の有害物質の使用を制限するための欧州連合(EU)の指令です。RoHS2指令は、環境および人体への有害な影響を軽減することを目的としています。

RoHS2指令の対象物質は以下の10種類です。

  1. 鉛(Lead)
  2. 水銀(Mercury)
  3. カドミウム(Cadmium)
  4. 六価クロム(Hexavalent Chromium)
  5. ポリ臭化ビフェニル(Polybrominated Biphenyls、PBBs)
  6. ポリ臭化ジフェニルエーテル(Polybrominated Diphenyl Ethers、PBDEs)
  7. フタル酸ジイソブチル Diisobutyl phthalate、DIBP)
  8. フタル酸ジ-n-ブチル (Dibutyl phthalate、DBP)
  9. フタル酸ブチルベンジル (Butyl benzyl phthalate、BBP)
  10. フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) (Bis(2-ethylhexyl) phthalate、DEHP)

これらの物質は環境への悪影響があると認識されており、特に廃棄物処理時に有害物質が漏れ出すことで土壌や水源に浸透し、生態系や人の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

図でわかる!熱収縮チューブの"収縮前"と"収縮後"のサイズ差

【例】EST-4の場合

熱収縮チューブ 製品ラインナップ

標準タイプ(非防水)

[ポイント]

❶ 定番のベーシックタイプ

❷ 色分けによる電極の識別が可能

[製品仕様]

材質:電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂
内面処理:なし(非防水)
難燃グレード:非難燃性
使用温度範囲:[最低]-55℃ [最高] 105℃
収縮率:約40%
長さ変化率:約ー15%

写真製品寸法図品番収縮前サイズ(mm)収縮後サイズ(mm)収縮温度入数
内径(φ)厚み(t)内径(最大値)厚み(t)

EST-4φ3.10mmt=0.20mmφ1.50mmt=0.40mm115℃1m×赤2本
1m×黒2本

EST-4Bφ3.10mmt=0.20mmφ1.50mmt=0.40mm115℃1m×赤2本
1m×黒2本

EST-5φ4.60mmt=0.20mmφ2.30mmt=0.40mm115℃1m×赤2本
1m×黒2本

EST-5Bφ4.60mmt=0.20mm φ2.30mmt=0.40mm115℃1m×黒4本

EST-6φ6.50mmt=0.25mm φ3.50mmt=0.50mm115℃1m×赤2本
1m×黒2本

EST-6Bφ6.50mmt=0.25mm φ3.50mmt=0.50mm115℃1m×黒4本

EST-7φ9.50mmt=0.25mm φ5.40mmt=0.50mm115℃1m×赤1本
1m×黒1本

EST-7Bφ9.50mmt=0.25mm φ5.40mmt=0.50mm115℃1m×黒2本

EST-8φ12.40mmt=0.30mm φ7.60mmt=0.60mm115℃1m×赤1本
1m×黒1本

EST-8Bφ12.40mmt=0.30mm φ7.60mmt=0.60mm115℃1m×黒2本

EST-9φ18.40mmt=0.30mm φ11.50mmt=0.60mm115℃1m×赤1本
1m×黒1本

EST-9Bφ18.40mmt=0.30mm φ11.50mmt=0.60mm115℃1m×黒2本

EST-10φ25.40mmt=0.30mm φ15.00mmt=0.60mm115℃1m×黒1本

防水タイプ

[ポイント]

❶ 防水保護を目的に、製品内部に熱溶融性接着材が塗布された熱収縮チューブ

❷チューブの収縮する際に内部より染み出る接着剤が水の侵入を防ぐ

[製品仕様]

材質:電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂
内面処理:熱溶剤性接着剤 塗布処理
難燃グレード:非難燃性
使用温度範囲:[最低]-55℃ [最高] 105℃
収縮率:約60%以上
長さ変化率:ー15%

写真製品寸法図品番収縮前サイズ(mm)収縮後サイズ(mm)収縮温度入数
内径(φ)厚み(t)内径(最大値)厚み(t)

ESTW-1φ3.20mmt=0.35mmφ0.60mmt=0.95mm 120℃1.2m×黒1本

ESTW-2φ4.80mmt=0.45mmφ1.50mmt=1.10mm 120℃1.2m×黒1本

ESTW-6φ6.40mmt=0.45mmφ2.0mmt=1.20mm 120℃1.2m×黒1本

ESTW-9φ9.50mmt=0.50mmφ3.00mmt=1.30mm 120℃1.2m×黒1本

防水・高収縮タイプ

[ポイント]

❶防水保護を目的に、製品内部に熱溶融性接着材が塗布された熱収縮チューブ

❷ 段差の大きい部位にも使用可能な高収縮タイプ

[製品仕様]

材質:電子線架橋半硬質難燃性ポリオレフィン樹脂
内面処理:熱溶剤性接着剤 塗布処理
難燃グレード:難燃性(UL94 V-0 相当)
使用温度範囲:[最低]-40℃ [最高] 130℃
収縮率:約75%以上
長さ変化率:ー10%

写真製品寸法図品番収縮前サイズ(mm)収縮後サイズ(mm)収縮温度入数
内径(φ)厚み(t)内径(最大値)厚み(t)

ESTW-405φ5.72mmt=0.40mmφ1.27mmt=1.20mm 135℃0.3m×灰4本

ESTW-407φ7.44mmt=0.50mmφ1.65mmt=1.52mm 135℃0.3m×灰4本

ESTW-411φ10.90mmt=0.70mmφ2.40mmt=1.91mm 135℃0.3m×灰4本

ESTW-418φ17.80mmt=0.80mmφ4.45mmt=2.41mm 135℃0.3m×灰4本

熱収縮チューブの使用方法

手順1 熱収縮チューブのサイズ選定・製品を準備する

熱収縮チューブを取り付ける箇所の太さを確認し、適切なチューブ径を選定します。必要な長さより20mm程度長めにカットし、熱収縮チューブを電線など処理対象にあらかじめ通しておきます。

ここがポイント!

熱収縮チューブの選定時は、対象物の太さよりも熱収縮チューブの収縮前内径(φD)が大きく、収縮後内径(φd)は小さいものを選びます。

例:対象物の太さ:φ5mmの場合、EST-6を使用
  EST-6:収縮前内径φ6.50mm、収縮後内径φ3.50mm

※対象物と収縮後内径が一致するサイズでは、収縮後ずれたり抜けてしまう場合があります。

手順2 工業用ドライヤー [ヒートガン](100℃以上)を使用して収縮させる

熱収縮チューブの収縮作業には、必ず工業用ドライヤー[ヒートガン]をご使用ください。ライターやトーチなど火気を使用した場合、火災や製品損傷の原因となる恐れがありますので、ご注意ください。

また、作業者のやけどや作業場所周辺には十分ご注意ください。

ここがポイント!

熱収縮チューブを収縮する際は、チューブの中心部から収縮をはじめるとチューブ内に空気が残りにくく綺麗に仕上がります。

特に防水タイプではチューブ内部に空気が残ると防水性能を得られない場合がありますので、できるだけチューブ内に空気が残らないようにしてください。

※複雑な形状や段差が大きい対象物に施行する場合は、この限りではありません。

手順3 防水タイプ使用時の収縮完了の目安を確認する

防水タイプをご使用の場合は、加熱時に内面の接着剤がチューブ端部から染み出したら収縮完了の目安です。接着剤が染み出すことで、防水性が確保されます。


各種熱収縮チューブ リーフレット(Web版)

よくあるお問い合わせ

熱収縮チューブとは何ですか?

熱収縮チューブは、加熱することで本体が縮み、電線や端子を覆う形で保護する樹脂製の製品です。

どのような用途に使われますか?

自動車の電線接続部分等に対して絶縁や防塵(ほこりを防ぐ)、耐擦過性(摩擦や擦れ)、また製品仕様によっては防水性能などの保護機能を備えさせる目的で使用されます。自動車車整備や電装系修理では必需品となっております。

どのようにサイズを選べばよいですか?

電線や端子等の対象物の最大外径よりも収縮チューブの「収縮前内径」がやや大きいサイズを選び、かつ対象物の最小外径よりも「収縮後内径」が小さくなるものを使うのが基本です。正確なサイズを選ぶためには購入前に製品情報を確認することをおすすめいたします。

製品を加熱するにはどのような道具を使えばいいですか?

ヒートガン(工業用ドライヤー)を使用してください。ライターや半田ごては、均一に加熱しにくく、チューブ自体を焦がし本来の性能を損なう恐れがあるほか、火災の原因になることもあります。作業時のやけどや作業場所周辺には十分ご注意ください。

耐熱温度や耐久性はどうですか?

材質によって耐熱性・難燃性・耐候性が異なるため、用途に応じて選定が必要です。購入前に製品情報をご確認されることをおすすめいたします。

防水効果はありますか?

防水性能を付加するには、チューブ内面に接着剤が予め塗布された「防水タイプ」を使用するのがおすすめです。加熱した際に内面の接着剤が溶け出して対象物に密着することで、防水性能を得ることができます。

色には意味がありますか?

赤や黒でプラス(赤)・マイナス(黒)を識別することで電線の識別や配線まわりの意匠性の向上に役立ちます。特にメンテナンス性を高めたい場合は、色分けの上 ご使用をされますと大変便利です。

環境に配慮した「RoHS指令」対応品となるでしょうか?

当社取り扱いの熱収縮チューブはRoHS指令(RoHS2指令)に適合しております。

[ご使用上の注意事項]
  1. 本ホームページ上に掲載されております各種データは、製品毎における代表値であり、特性および性能はあくまで一参考値となります。これらは特定の用途への適合性や安全性を弊社が保証するものではございません。
  2. 熱収縮チューブをご使用の際は、お客さまご自身の責任において、実際の使用条件下での十分な評価、ご検証の上、適合性および安全性をご確認ください。
  3. 製品のご使用に際しまして、万一、偶発的または間接的な損害が生じました場合でも、弊社ではいかなるその責任を負いかねますので、予めのご了承くださいますようお願いを申し上げます。