自動車補修用圧着工具(電工ペンチ)の選び方と使い方ガイド(イラストガイド付き)
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圧着工具とは

自動車の配線作業では、使用する端子に適した圧着工具(電工ペンチ)を選ぶことが重要です。自動車で使われる圧着端子には、クローズドバレル端子 や オープンバレル端子 などがあり、一般的なラジオペンチなどでは正しく圧着する(かしめる)ことができません。
圧着工具は、電線の芯線(導体)と端子を適切な形状で圧着することにより密着することで導通を得られ、配線が抜けにくく、通電不良や断線などのトラブルを防ぐことができます。見た目が似ている工具でも、端子の種類(圧着形状)やサイズに適合した圧着工具を使用することで、確実な仕上りにつながります。
製品名称について
ヒーロー電機では「圧着工具」と呼んでおりますが、電工ペンチ、圧着ペンチ、かしめ工具などの名称で呼ばれることもあります。
圧着工具の性能が電気接続の信頼性を左右
圧着工具の性能は、端子と電線を確実かつ安定的に接続するための「歯型」の形状や設計寸法に大きく依存します。適切でない歯型を使用した場合、端子と電線の芯線(導体)が十分に圧着されず、接触抵抗の増加や導通不良、断線等につながる可能性があります。そのため、使用する端子の仕様に適合した圧着工具を選定し、適切な歯型で圧着することが、電気的接続の信頼性を確保するうえで重要となります。なお、車の基本性能や安全装置等に関わる厳密な圧着品質が求められる箇所では汎用工具(本製品も含む)ではなく、端子メーカーが指定する専用工具を必ず使用してください。


圧着工具の種類(オープンバレル端子用・クローズドバレル端子用)
自動車補修用途で使用される圧着工具には、「オープンバレル用」と「クローズドバレル用」があります。主な違いは、圧着する(かしめる)端子の形状と、それに対応する歯型の構造にあります。

オープンバレル端子用 圧着工具
オープンバレル端子は、端子のU字型に開いたバレル部分(ワイヤーバレル・インスレーションバレル)が内側に巻き込むように圧着する(かしめる)形状になっており、電線の芯線と被覆をそれぞれ適切に固定できるよう設計されています。
そのためオープンバレル端子用の圧着工具の歯型(ダイス)は、M字形状となっている歯型(クリンパー)に端子のバレルがその形に沿って内側へ巻き込むように変形しながら加圧することで、芯線と端子がしっかり密着します。
※本来オープンバレル端子は、使用する端子と電線の組合せにより専用の歯型(工具)が必要となります。しかし、自動車には様々な端子や電線が使われており、その分の専用工具を揃えることは難しいため、本工具は汎用性を持たせたものとなります。
そのため、自動車の基本性能(走る・曲がる・止まる)や安全装置(エアバックやABS等)に関わる厳密な圧着品質が求められる箇所では本工具の使用を避け、端子のメーカーが指定する専用工具を必ずご使用ください。



クローズドバレル端子用 圧着工具
クローズドバレル端子は、あらかじめ筒状になっているバレル部分を押しつぶすようにして、電線の芯線部分のみを圧着し固定する構造になっています。
クローズドバレル端子用の圧着工具の歯型(ダイス)は、絶縁被覆の有無により変わり、被覆無し(裸端子)の場合は凹凸状の歯型、被覆付きの場合は被覆を破らないよう楕円(非防水型絶縁被覆付き用)や角丸四角形(防水型絶縁被覆付き用)の形状をした両側凹状の歯型を持ち、いずれの場合もバレル中央部分を加圧することで芯線と端子が密着します。


日本国内の大手工具メーカーとヒーロー電機の知見を集約した、共同監修の圧着工具(品番:W-23)

自動車の配線作業では、現場での使いやすさに加え、端子の構造を正しく理解した圧着が欠かせません。本製品(品番:W-23)は、日本国内の大手工具メーカーと端子メーカーであるヒーロー電機が、それぞれの知見を活かして開発した圧着工具です。初めて圧着作業を行う方でも、安定した仕上がりが得られることを重視して設計されています。
製品特長

基本仕様
圧着範囲:0.30mm2~2.00mm2
全長:233mm
質量:0.25kg
グリップ部分に肉厚形状を採用することで、圧着時(かしめる際)に手にかかる負担を軽減しています。圧着作業では一定の力を加える必要がありますが、グリップ形状を工夫することで手が痛くなりにくく、連続して作業する場合でも安定した握り(圧着)が可能です。安定した力で圧着できることは、端子と電線の確実な接続にもつながります。


防水コネクタに使用されるワイヤシール(ゴム栓)用のINS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着部を備えており、防水仕様の配線作業にも対応できます。ワイヤシールを適切に圧着することで、水や湿気の侵入を抑制し、電気接続の信頼性向上に寄与します。自動車補修や電装作業において、防水性が求められる箇所の使用に最適です。


防水コネクタ用ターミナルにワイヤーシール(ゴム栓)装着を圧着するときは、W-23の圧着用歯型(ワイヤーシール用INS)を使用してください。圧着工具(品番:B-14・生産廃止品)等のM型歯で圧着するとワイヤーシール内部に隙間ができて防水性を損ないます。防水性能が求められる箇所では、適切な歯型を使用することが重要です。

オープンバレル端子だけでなく、丸形端子や突き合せ端子などのクローズドバレル端子にも対応しています。さらにボルトカッター機能も搭載しているため、配線作業時に工具を持ち替える手間を減らすことができ、作業効率の向上につながります。圧着・切断・被覆処理など、配線作業に必要な基本機能を1本に集約しています。


圧着工具の使用方法(ギボシ端子の圧着方法)
かつてギボシ端子や圧着工具は業務用でしたが、最近は一般の方が使用されるケースが増えてきました。ギボシ端子の圧着(かしめ方)は正しい知識と熟練が必要です。
不完全な圧着は接触不良や断線を引き起こします。そこでヒーロー電機は、「誰にでもわかりやすい」をコンセプトに本マニュアルを作成しました。今回はヒーロー電機・オリジナルのギボシ端子 オス(品番:B-1)を例にご紹介いたします。

手順1 製品の準備
ここではW-23を使用します。

手順2 古い端子が付いているときの切断
圧着工具には電線を切るカッターが付いていますので、ニッパーなどの工具に持ち替える事なく作業ができます。

手順3 電線に絶縁スリーブを通す
先に端子を付けてしまうとスリーブが通らなくなりますので、最初に絶縁スリーブを通します。(本マニュアルはオス端子から施工しますが、メス端子を先に施工しても問題ありません)

プラス側に使用すると、シャーシーなどに触れてショートする恐れがあります。

手順4 電線の被覆を剥く
芯線の太さに合わせて歯を選びます。被覆を剥く長さは、端子の圧着部の長さより1mm ほど長め(4~5mm)にします。

ワイヤーストリッパーの刃が閉じるまで握って、矢印の方向に引いて被覆を剥きます。

手順5 電線の芯線を圧着(1)
ギボシ端子(品番:B-1)の芯線圧着部中央を軽く挟んで固定し、電線を芯線圧着部に挿入します。



手順6 電線の芯線を圧着(2)
ワイヤーストリッパーの刃が閉じるまで強く握って芯線を圧着します。

手順7 電線の被覆を圧着
INS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着用歯型に挟み変えて圧着します。


手順8 仕上がりを確認して、絶縁スリーブをセットします
絶縁スリーブを端子側に挿入します。この時、下図のように絶縁スリーブの所定の位置に端子INS 圧着部が確実にはまるよう注意します。

完成

防水用ゴム栓(ワイヤーシール)を圧着する場合はINS部「丸形」歯型を使用します。

作業マニュアル(ギボシ端子の圧着方法)
よくあるお問い合わせ
ギボシ端子を圧着する(かしめる作業)には、圧着工具(電工ペンチ)は別途必要ですか?
圧着工具(電工ペンチ)は必ず別途必要です。端子に適した工具を使用することで、電線とギボシ端子を確実に圧着(かしめる作業)し、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を安定的に固定できます。これにより、通電の信頼性を長期的に確保できます。
なお、圧着工具には、端子の圧着部を適切な形状(なめらかなM字形)で圧着できる専用の歯型が備えられています。一方で、一般的なペンチなどでは適切な形状で圧着できず、接触不良や電線の抜けといった不具合の原因になります。
ギボシ端子の圧着(かしめる作業)では、どの部分を圧着するのですか?
ギボシ端子には、電線を固定するための「バレル」と呼ばれる部分が2か所あります。
・ワイヤーバレル
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を強く圧着(かしめ)し、電気的な導通を確保します。
・インスレーションバレル
電線の被覆(絶縁体)を押えるように軽くつぶし、ワイヤーバレル部にかかる引っ張る力や振動を吸収・軽減します。

「ワイヤーバレル」および「インスレーションバレル」の2か所を正しく圧着(かしめる作業)することで、安定した電気接続と機械的な固定が両立されます。
電線の被覆はどのくらい剥(む)けばよいですか?
ギボシ端子のかしめ部(ワイヤーバレル)に対して+1.0mm~1.5mm程度を目安に剥(む)いてください。長すぎても短すぎても不具合の原因になります。
被覆をむいた電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱うときの注意点はありますか?
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱う際には以下の点に注意してください。
・芯線を素手で長時間触れないこと
手の汗(塩分)や皮脂(油分)、汚れなどが付着すると、時間の経過とともに酸化や腐食が進み導通不良などの原因となります。(10円硬貨と同じです)
・できるだけ早くギボシ端子に差し込む
被覆を剥(む)いた電線の芯線はできるだけ触らず、すぐにギボシ端子に差し込み、圧着工具で圧着(かしめ)してください。
⚠️芯線がばらけた場合の整え方
芯線が少しばらけたら、軽く指で揃える程度であれば触れても問題ありません。大切なのは、芯線をギボシ端子にまっすぐ挿入できる状態に整えることです。
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじって(ツイストして)まとめたり折り曲げてもよいですか?
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじるのは避けてください。均一に圧着(かしめる)できず、芯線をねじったり折り曲げると、圧着(かしめる)作業の際にワイヤーバレルが芯線を傷つけたり切ってしまう恐れがあり、接触不良や断線の原因になります。また、ギボシ端子の内部で芯線が偏ると均一に圧着(かしめ)できず、抜けやすくなる恐れもあります。芯線はまっすぐに揃えて端子へ差し込み、圧着工具で正しく圧着(かしめ)してください。

絶縁スリーブはどのタイミングで通すのですか?
特に決まりはありませんが、ギボシ端子を圧着(かしめる作業)前に電線に通すようにしてください。おすすめは(電線切断後)絶縁被覆を剥く(むく)前に予め通すことで、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)がばらける心配がありません。
【ご参考】
通常の絶縁スリーブではギボシ端子の圧着後では通しにくくなりますが、圧着後からでも通すことができる後入れタイプの絶縁スリーブ(品番:B-3A・B-3AL・B-4A・B-4ALもご用意しております。
一度、圧着(かしめる作業)したギボシ端子が抜けた場合に再利用はできますか?
既に圧着(かしめる作業)を行ったギボシ端子の再利用はできません。既に変形した端子では適切な圧着ができず、接触不良や緩みの原因になります。変形した端子は再利用せず、新しいギボシ端子に交換して再圧着(かしめ直し)してください。
⚠️ギボシ端子が抜けた部分の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)に傷や損傷がある場合には、電線も傷や損傷のない(新たに被覆をむいた)芯線部分をご使用されることを推奨いたします。
ご注意事項
以下の記載項目につきましては厳守願います。火災・感電・怪我・破損、圧着不良の原因となります。
- 適用電線および適用端子以外の圧着については十分な性能が得られません。弊社ホームページ内の製品カタログ、および総合カタログ内の端子適用工具欄をご参照の上、製品のご使用を願います。
- 本製品の可動部には使用頻度に応じて注油を実施してください。また、作業終了後には油を含ませたウエス等で工具金属部を拭き取り、錆が発生しないように保管を行ってください。
- 本製品で圧着する際には、手動以外の強い力(製品自体を叩いたり、万力で挟むなど)を加える等、本来の使用目的とは異なるご利用はお控えください。
- 本製品は自動車配線用途におけるご使用を前提に製造しております。左記用途以外でのご利用はお控えください。
- 本製品の割れ・欠け・摩耗・変形等の異常が認められた場合には直ちに製品のご使用を中止し、新しい製品への交換を実施してください。
- 本製品を分解したり改造したりすることは、絶対に行わないでください。
- 確実に結線し、絶縁処理を行ってください。
- 端子の接続後は定期的に確認を行ない、異常等があれば速やかに交換を実施してください。

