自動車補修用圧着工具(電工ペンチ)の選び方と使い方ガイド(イラストガイド付き)


↓ 製品特長 ↓ 基本操作ガイド(ギボシ端子の圧着方法) ↓ よくあるお問い合わせ

このページは、はじめて自動車補修用圧着工具(電工ペンチ)を選ばれる方や、使い方を知りたい方向けに作られております。

圧着工具とは

自動車の配線作業では、使用する端子に適した圧着工具(電工ペンチ)を選ぶことが重要です。自動車で使われる圧着端子には、クローズドバレル端子 や オープンバレル端子 などがあり、一般的なラジオペンチなどでは正しく圧着する(かしめる)ことができません。

圧着工具は、電線の芯線(導体)と端子を適切な形状で圧着することにより密着することで導通を得られ、配線が抜けにくく、通電不良や断線などのトラブルを防ぐことができます。見た目が似ている工具でも、端子の種類(圧着形状)やサイズに適合した圧着工具を使用することで、確実な仕上りにつながります。

本ページは、ヒーロー電機が自動車アフターマーケット業界で半世紀以上にわたり培った知識ならびに設計·開発から得た信頼性、および実車での配線修理経験に基づき、初めて圧着作業を行う方から実務に携わる方まで、正しい圧着作業を安全に行うための情報をまとめています。

適切な工具選定と正しい圧着は、電気的信頼性および車両の安全性を確保するために不可欠であり、誤った施工はあらゆる不具合の原因となります。

製品名称について
ヒーロー電機では「圧着工具」と呼んでおりますが、電工ペンチ、圧着ペンチ、かしめ工具などの名称で呼ばれることもあります。

圧着工具の性能が電気接続の信頼性を左右

圧着工具の性能は、端子と電線を確実かつ安定的に接続するための「歯型」の形状や設計寸法に大きく依存します。適切でない歯型を使用した場合、端子と電線の芯線(導体)が十分に圧着されず、接触抵抗の増加や導通不良、断線等につながる可能性があります。そのため、使用する端子の仕様に適合した圧着工具を選定し、適切な歯型で圧着することが、電気的接続の信頼性を確保するうえで重要となります。なお、車の基本性能や安全装置等に関わる厳密な圧着品質が求められる箇所では汎用工具(本製品も含む)ではなく、端子メーカーが指定する専用工具を必ず使用してください。

圧着工具の種類(オープンバレル端子用・クローズドバレル端子用)

自動車補修用途で使用される圧着工具には、「オープンバレル用」と「クローズドバレル用」があります。主な違いは、圧着する(かしめる)端子の形状と、それに対応する歯型の構造にあります。

参考:(品番:B-14)[絶版] 工具先端

オープンバレル端子用 圧着工具

オープンバレル端子は、端子のU字型に開いたバレル部分(ワイヤーバレル・インスレーションバレル)が内側に巻き込むように圧着する(かしめる)形状になっており、電線の芯線と被覆をそれぞれ適切に固定できるよう設計されています。

そのためオープンバレル端子用の圧着工具の歯型(ダイス)は、M字形状となっている歯型(クリンパー)に端子のバレルがその形に沿って内側へ巻き込むように変形しながら加圧することで、芯線と端子がしっかり密着します。

※本来オープンバレル端子は、使用する端子と電線の組合せにより専用の歯型(工具)が必要となります。しかし、自動車には様々な端子や電線が使われており、その分の専用工具を揃えることは難しいため、本工具は汎用性を持たせたものとなります。

そのため、自動車の基本性能(走る・曲がる・止まる)や安全装置(エアバックやABS等)に関わる厳密な圧着品質が求められる箇所では本工具の使用を避け、端子のメーカーが指定する専用工具を必ずご使用ください。

参考:(品番:MH-8)工具先端

クローズドバレル端子用 圧着工具

クローズドバレル端子は、あらかじめ筒状になっているバレル部分を押しつぶすようにして、電線の芯線部分のみを圧着し固定する構造になっています。

クローズドバレル端子用の圧着工具の歯型(ダイス)は、絶縁被覆の有無により変わり、被覆無し(裸端子)の場合は凹凸状の歯型、被覆付きの場合は被覆を破らないよう楕円(非防水型絶縁被覆付き用)や角丸四角形(防水型絶縁被覆付き用)の形状をした両側凹状の歯型を持ち、いずれの場合もバレル中央部分を加圧することで芯線と端子が密着します。

丸形端子(品番:DR1.25-3)
それぞれ圧着方法が異なるため、端子の種類に適した圧着工具を使用することが重要です。

日本国内の大手工具メーカーとヒーロー電機の知見を集約した、共同監修の圧着工具(品番:W-23)

自動車の配線作業では、現場での使いやすさに加え、端子の構造を正しく理解した圧着が欠かせません。本製品(品番:W-23)は、日本国内の大手工具メーカーと端子メーカーであるヒーロー電機が、それぞれの知見を活かして開発した圧着工具です。初めて圧着作業を行う方でも、安定した仕上がりが得られることを重視して設計されています。

製品特長

基本仕様
圧着範囲:0.30mm2~2.00mm2
全長:233mm
質量:0.25kg

特徴1
肉厚グリップにより手の負担を軽減し、安定した圧着作業が可能

グリップ部分に肉厚形状を採用することで、圧着時(かしめる際)に手にかかる負担を軽減しています。圧着作業では一定の力を加える必要がありますが、グリップ形状を工夫することで手が痛くなりにくく、連続して作業する場合でも安定した握り(圧着)が可能です。安定した力で圧着できることは、端子と電線の確実な接続にもつながります。

特徴2
防水コネクタ用ターミナルのワイヤシール(ゴム栓)用 INS 圧着に対応

防水コネクタに使用されるワイヤシール(ゴム栓)用のINS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着部を備えており、防水仕様の配線作業にも対応できます。ワイヤシールを適切に圧着することで、水や湿気の侵入を抑制し、電気接続の信頼性向上に寄与します。自動車補修や電装作業において、防水性が求められる箇所の使用に最適です。

Point

防水コネクタ用ターミナルにワイヤーシール(ゴム栓)装着を圧着するときは、W-23の圧着用歯型(ワイヤーシール用INS)を使用してください。圧着工具(品番:B-14・生産廃止品)等のM型歯で圧着するとワイヤーシール内部に隙間ができて防水性を損ないます。防水性能が求められる箇所では、適切な歯型を使用することが重要です。

特徴3
オープンバレル用端子・クローズドバレル用端子の両方に対応、ボルトカッター機能も搭載

オープンバレル端子だけでなく、丸形端子や突き合せ端子などのクローズドバレル端子にも対応しています。さらにボルトカッター機能も搭載しているため、配線作業時に工具を持ち替える手間を減らすことができ、作業効率の向上につながります。圧着・切断・被覆処理など、配線作業に必要な基本機能を1本に集約しています。

圧着工具の使用方法(ギボシ端子の圧着方法)

かつてギボシ端子や圧着工具は業務用でしたが、最近は一般の方が使用されるケースが増えてきました。ギボシ端子の圧着(かしめ方)は正しい知識と熟練が必要です。

不完全な圧着は接触不良や断線を引き起こします。そこでヒーロー電機は、「誰にでもわかりやすい」をコンセプトに本マニュアルを作成しました。今回はヒーロー電機・オリジナルのギボシ端子 オス(品番:B-1)を例にご紹介いたします。

手順1 製品の準備

ここでは圧着工具(品番:W-23)を使用し、ギボシ端子オス(品番:B-1)を圧着します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step1-n-1012x1024.jpg

手順2 古い端子が付いているときの切断

圧着工具には電線を切るカッターが付いていますので、ニッパーなどの工具に持ち替える事なく作業ができます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step2-n-1024x435.jpg

手順3 電線に絶縁スリーブを通す

先に端子を付けてしまうとスリーブが通らなくなりますので、最初に絶縁スリーブを通します。(本マニュアルはオス端子から施工しますが、メス端子を先に施工しても問題ありません)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step3-1-n.jpg
注意
端子を圧着する場合、端子がむき出しになるオスギボシはマイナス側に使用します。
プラス側に使用すると、シャーシーなどに触れてショートする恐れがあります。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step3-2.jpg

手順4 電線の被覆を剥く

芯線の太さに合わせて歯を選びます。被覆を剥く長さは、端子の圧着部の長さより1mm ほど長め(4~5mm)にします。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step4-1-1024x596.jpg

ワイヤーストリッパーの刃が閉じるまで握って、矢印の方向に引いて被覆を剥きます。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step4-2-1024x548.jpg

手順5 電線の芯線を圧着(1)

ギボシ端子(品番:B-1)の芯線圧着部中央を軽く挟んで固定し、電線を芯線圧着部に挿入します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step5-1-n-1024x573.jpg
工具の持ち方
工具には表と裏があります。オープンバレル端子を圧着する際は、必ず「M字形」の歯形が上側になるように持ちます。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step5-2-1-n.jpg
正しい芯線の処理
芯線をひねったり、折り曲げる方法は過圧着による芯線切断(圧着不良)や、素手で触ることで腐食の原因に繋がることもあります。カシメ作業が正しく出来ていれば、通常の扱いでギボシから抜けることはありません。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step5-2-2-n.jpg

手順6 電線の芯線を圧着(2)

ワイヤーストリッパーの刃が閉じるまで強く握って芯線を圧着します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step6-1-1024x450.jpg

手順7 電線の被覆を圧着

INS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着用歯型に挟み変えて圧着します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step7-1-n-1024x459.jpg
注意
電線被覆部の圧着は、電線を軽く抑える程度にしてください。強く圧着すると、電線被覆をやぶり芯線を切断します。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step7-2-n.jpg

手順8 仕上がりを確認して、絶縁スリーブをセットします

絶縁スリーブを端子側に挿入します。この時、下図のように絶縁スリーブの所定の位置に端子INS 圧着部が確実にはまるよう注意します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step8-n-1024x469.jpg

完成

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step-final-1-n-1024x311.jpg
圧着工具「W-23」INS箇所の歯型2種類の役割
電線の絶縁被覆に端子の被覆押さえを圧着する場合はINS部「M字形」歯型を使用します。
防水用ゴム栓(ワイヤーシール)を圧着する場合はINS部「丸形」歯型を使用します。
画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: w-23-step-final-2-n-1024x341.jpg

作業マニュアル(ギボシ端子の圧着方法)

よくあるお問い合わせ

一般的なペンチやラジオペンチで端子を圧着することはできますか?

一般的なペンチやラジオペンチで端子を正しく圧着することはできません。圧着工具は、端子の種類や形状に合わせた専用の歯型が設けられており、端子を適切な形状に変形させながら電線の芯線を圧着します。

なお、一般的なペンチなどを使用した場合、端子を適切な形状で圧着することができず、電線の抜け、接触不良、導通不良、断線などの原因となる恐れがあります。必ず使用する端子に適した圧着工具をご使用ください。

使用する端子に合った圧着工具は、どのように選べばよいですか?

圧着工具を選ぶ際には、主に次の点をご確認ください。

  • 使用する端子の種類
  • 端子の圧着形状
  • 使用する(端子に適合する)電線サイズ
  • 圧着工具の圧着範囲
  • 端子に適合する歯型

見た目が似ている圧着工具であっても、使用する端子や電線サイズに適合していない場合、十分な圧着性能を得られない場合がありますので注意が必要です。ヒーロー電機でラインナップしている端子をご使用される場合には、当社製品カタログ等の個別ぺージに記載されている適用工具をご確認のうえご使用ください。

圧着工具の「圧着範囲」とは何ですか?

「圧着範囲」とは、その圧着工具で圧着することができる電線サイズの範囲を示しています。圧着工具には、使用する端子のバレル形状と電線サイズに合わせて複数の歯型が設けられており、適切なサイズの歯型を選んで圧着します。

圧着範囲から外れた電線や端子を使用すると、圧着不良による電線の抜けや芯線の損傷、導通不良などの原因となる場合があります。必ず使用する端子および電線サイズに適合した圧着工具をご使用ください。

圧着工具「W-23」は、自動車に使用されているすべての端子に使用できますか?

いいえ。自動車に使用されているすべての端子に使用できるものではありません。自動車には非常に多くの種類の端子や電線が使用されており、本来、オープンバレル端子では端子と電線の組み合わせに応じた専用の歯型(工具)が必要となります。

W-23は自動車補修用途における使いやすさを考慮して汎用性を持たせた圧着工具ですが、車両の基本性能(走る・曲がる・止まる)や、エアバッグ・ABSなどの安全装置に関係する箇所では使用せず、必ず端子メーカーまたは自動車メーカーが指定する専用工具をご使用ください。

圧着は強くつぶせばつぶすほど良いのでしょうか?

いいえ。強く圧着すれば良いというものではありません。圧着が弱すぎると、端子と電線の芯線が十分に密着せず、電線の抜けや接触不良の原因となります。一方で、必要以上に強く圧着すると、芯線を傷つけたり切断したりする「過圧着」となり、断線などの原因となる場合があります。

また、オープンバレル端子のインスレーションバレル(電線被覆部を固定する箇所)は、芯線圧着部分とは異なり、走行時等の振動を芯線圧着部に伝えないことを目的としているため電線の被覆を軽く押さえる程度に握る力を加減することが重要です。

使用する端子・電線サイズに合った歯型を選び、適切に圧着してください。

正しく圧着できているかは、どのように確認すればよいですか?

圧着後は、端子と電線が正しい位置で固定されているか、目視で仕上がりを確認してください。

オープンバレル端子の場合は、ワイヤーバレルが芯線を適切に包み込んでいること、インスレーションバレルが電線被覆を適切に保持していることを確認します。また、芯線の飛び出し、端子の著しい変形、電線被覆の破れ、芯線の切断などがないことも確認してください。

最後に手で端子と電線を持ち軽く引張ってみて、容易に抜けないことを確認してください。

※使用する電線が細い(0.3sq以下)場合、強く引張り過ぎると適切な圧着であっても抜けや電線が破断する場合がありますので力加減には注意してください。圧着状態に異常が認められた場合は、その端子を再利用せず、新しい端子を使用して再度圧着してください。

ご注意事項

以下の記載項目につきましては厳守願います。火災・感電・怪我・破損、圧着不良の原因となります。

  • 適用電線および適用端子以外の圧着については十分な性能が得られません。弊社ホームページ内の製品カタログ、および総合カタログ内の端子適用工具欄をご参照の上、製品のご使用を願います。
  • 本製品の可動部には使用頻度に応じて注油を実施してください。また、作業終了後には油を含ませたウエス等で工具金属部を拭き取り、錆が発生しないように保管を行ってください。
  • 本製品で圧着する際には、手動以外の強い力(製品自体を叩いたり、万力で挟むなど)を加える等、本来の使用目的とは異なるご利用はお控えください。
  • 本製品は自動車配線用途におけるご使用を前提に製造しております。左記用途以外でのご利用はお控えください。
  • 本製品の割れ・欠け・摩耗・変形等の異常が認められた場合には直ちに製品のご使用を中止し、新しい製品への交換を実施してください。
  • 本製品を分解したり改造したりすることは、絶対に行わないでください。
  • 確実に結線し、絶縁処理を行ってください。
  • 端子の接続後は定期的に確認を行ない、異常等があれば速やかに交換を実施してください。