圧着工具 Q&A 困ったときの解決ガイド


↓ 圧着工具 Q&A[基本編] ↓ 圧着工具 Q&A[選び方編] ↓ 圧着工具 Q&A[実践編]

このページは、はじめて自動車補修用圧着工具(電工ペンチ)を選ばれる方や、正しい使い方を知りたい方向けに作られております。

このQ&Aは、1968年創立の自動車補修用電装部品専門メーカーであるヒーロー電機が、半世紀以上にわたり自動車整備業界で培ってきた経験と知見をもとに、圧着工具の選び方や使い方についてわかりやすくまとめたものです。

圧着工具 Q&A[基本編]

圧着工具(電工ペンチ)とは、どのような工具ですか?

圧着工具とは、電線の芯線(電線の外側を覆っている絶縁被覆〔例:ポリ塩化ビニル(PVC)など〕をむくと現れる、電気を流すための細い銅線を束ねた部分)と端子を適切な形状で圧着する(かしめる)ことで密着させ、安定した導通と電線が抜けにくい状態をつくるための工具です。

なお、ヒーロー電機では「圧着工具」と呼んでおりますが、「電工ペンチ」「圧着ペンチ」「かしめ工具」などの名称で呼ばれることもあります。

一般的なペンチやラジオペンチで端子を圧着することはできますか?

一般的なペンチやラジオペンチで端子を正しく圧着することはできません。圧着工具は、端子の種類や形状に合わせた専用の歯型が設けられており、端子を適切な形状に変形させながら電線の芯線を圧着します。

なお、一般的なペンチなどを使用した場合、端子を適切な形状で圧着することができず、電線の抜け、接触不良、導通不良、断線などの原因となる恐れがあります。必ず使用する端子に適した圧着工具をご使用ください。

圧着工具にはどのような種類がありますか?

自動車の補修用途で使用される圧着工具には、大きく分けて「オープンバレル端子用」と「クローズドバレル端子用」があります。端子のバレル形状や絶縁被覆付きの有無によって圧着方法や必要な歯型が異なるため、使用する端子に適した圧着工具を選ぶことが重要です。

【オープンバレル端子用】

ギボシ端子やコネクタ用端子など、圧着部分(バレル)が開いた形状の端子に使用します。端子のバレル部分を内側へ巻き込みながらM字形状に圧着して、電線の芯線を端子に固定します。

オープンバレル端子

個々の適用電線範囲が広く汎用性があります。オープンバレル仕様は電線の被覆、および芯線の計2か所を圧着します。

【クローズドバレル端子用】

丸形端子や突合せ端子など、圧着部分(バレル)があらかじめ筒状になっている端子に使用します。筒状のバレル部分を主に丸や四角形状で押しつぶすように圧着して、電線の芯線を端子に固定します。

クローズドバレル端子

電線の太さによって製品が細かく分けられており、バッテリーケーブルのような太い電線までバリエーションが豊富です。芯線のみの圧着なので作業効率に優れていますが、使用する電線の太さに注意する必要があります。

圧着工具 Q&A[選び方編]

使用する端子に合った圧着工具は、どのように選べばよいですか?

圧着工具を選ぶ際には、主に次の点をご確認ください。

  • 使用する端子の種類
  • 端子の圧着形状
  • 使用する(端子に適合する)電線サイズ
  • 圧着工具の圧着範囲
  • 端子に適合する歯型

見た目が似ている圧着工具であっても、使用する端子や電線サイズに適合していない場合、十分な圧着性能を得られない場合がありますので注意が必要です。ヒーロー電機でラインナップしている端子をご使用される場合には、当社製品カタログ等の個別ぺージに記載されている適用工具をご確認のうえご使用ください。

圧着工具の「圧着範囲」とは何ですか?

「圧着範囲」とは、その圧着工具で圧着することができる電線サイズの範囲を示しています。圧着工具には、使用する端子のバレル形状と電線サイズに合わせて複数の歯型が設けられており、適切なサイズの歯型を選んで圧着します。

圧着範囲から外れた電線や端子を使用すると、圧着不良による電線の抜けや芯線の損傷、導通不良などの原因となる場合があります。必ず使用する端子および電線サイズに適合した圧着工具をご使用ください。

圧着工具の歯型が複数あるのはなぜですか?

端子の種類や電線サイズによって、適切な圧着形状が異なるためです。例えばオープンバレル端子では、端子のバレル部分を内側へ巻き込むように圧着するため、M字形状の歯型が使用されます。

一方、クローズドバレル端子では、端子の種類や絶縁被覆付きの有無などによって使用する歯型の形状が異なります。適切でない歯型を使用すると、端子と電線の芯線が十分に密着せず、接触抵抗の増加や導通不良、断線などの原因となる場合があります。

端子の種類と電線サイズを確認し、それぞれに適した歯型をご使用ください。

圧着工具「W-23」では、どのような作業ができますか?

ヒーロー電機の圧着工具「W-23」は、自動車補修用の配線作業を想定した汎用圧着工具です。オープンバレル端子のほか、丸形端子や突合せ端子などのクローズドバレル端子の圧着にも対応しています。(※絶縁被覆付きの端子は適用外なのでご注意ください)

また、電線の切断、被覆をむく作業、防水コネクタ用の端子に使用するワイヤーシール(ゴム栓)のINS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着、ボルト切断など、自動車の配線作業に必要となる基本的な機能を1本に集約しています。

圧着範囲は0.30mm2~2.00mm2です。

※使用する端子および電線によって適合可否が異なります。必ず事前に適用端子・適用電線をご確認ください。

圧着工具 Q&A[実践編]

圧着工具「W-23」は、自動車に使用されているすべての端子に使用できますか?

いいえ。自動車に使用されているすべての端子に使用できるものではありません。自動車には非常に多くの種類の端子や電線が使用されており、本来、オープンバレル端子では端子と電線の組み合わせに応じた専用の歯型(工具)が必要となります。

W-23は自動車補修用途における使いやすさを考慮して汎用性を持たせた圧着工具ですが、車両の基本性能(走る・曲がる・止まる)や、エアバッグ・ABSなどの安全装置に関係する箇所では使用せず、必ず端子メーカーまたは自動車メーカーが指定する専用工具をご使用ください。

圧着は強くつぶせばつぶすほど良いのでしょうか?

いいえ。強く圧着すれば良いというものではありません。圧着が弱すぎると、端子と電線の芯線が十分に密着せず、電線の抜けや接触不良の原因となります。一方で、必要以上に強く圧着すると、芯線を傷つけたり切断したりする「過圧着」となり、断線などの原因となる場合があります。

また、オープンバレル端子のインスレーションバレル(電線被覆部を固定する箇所)は、芯線圧着部分とは異なり、走行時等の振動を芯線圧着部に伝えないことを目的としているため電線の被覆を軽く押さえる程度に握る力を加減することが重要です。

使用する端子・電線サイズに合った歯型を選び、適切に圧着してください。

正しく圧着できているかは、どのように確認すればよいですか?

圧着後は、端子と電線が正しい位置で固定されているか、目視で仕上がりを確認してください。

オープンバレル端子の場合は、ワイヤーバレルが芯線を適切に包み込んでいること、インスレーションバレルが電線被覆を適切に保持していることを確認します。また、芯線の飛び出し、端子の著しい変形、電線被覆の破れ、芯線の切断などがないことも確認してください。

最後に手で端子と電線を持ち軽く引張ってみて、容易に抜けないことを確認してください。

※使用する電線が細い(0.3sq以下)場合、強く引張り過ぎると適切な圧着であっても抜けや電線が破断する場合がありますので力加減には注意してください。圧着状態に異常が認められた場合は、その端子を再利用せず、新しい端子を使用して再度圧着してください。

圧着工具を長く使用するために、メンテナンスは必要ですか?

はい。圧着工具を良好な状態で使用するためには、定期的な点検とメンテナンスをおすすめします。錆が発生しないように可動部分には使用頻度に応じて注油を行い、作業終了後は薄く油を含ませたウエスなどの油布で工具の金属部分を拭き取り、工具箱等に入れて保管してください。

また、工具に割れ・欠け・摩耗・変形などの異常が認められた場合には使用を中止し、新しい工具をお買い求めください。圧着工具の歯型の状態は圧着品質にも影響するため、工具そのものを適切な状態に保つことも重要です。

自動車補修用圧着工具(電工ペンチ)の選び方と使い方ガイド(イラストガイド付き)特設ページは こちら
オープンバレル用圧着工具の製品ラインナップぺージは こちら
クローズドバレル用圧着工具の製品ラインナップぺージは こちら