自動車補修用ギボシ端子 for Professional

自動車補修用ギボシ端子シリーズ
B-1/B-2,B-1-24K/B-2-24K

基本操作ガイド(ギボシ端子の圧着方法)

誰にでもわかりやすいギボシ端子の圧着方法

かつてギボシ端子や圧着工具は業務用でしたが、最近は一般の方が使用されるケースが増えてきました。ギボシ端子の圧着(かしめ方)は正しい知識と熟練が必要です。

不完全な圧着は接触不良や断線を引き起こします。そこでヒーロー電機は、「誰にでもわかりやすい」をコンセプトに本マニュアルを作成しました。今回はギボシ端子 オス(品番:B-1)を例にご紹介いたします。

創業当時のリーフレット

手順1:製品の準備

ここでは圧着工具(品番:FRH-07)を使用し、ギボシ端子オス(品番:B-1)を圧着します。

圧着工具 FRH-07(絶版)
圧着対応製品例
写真 製品 品番 規格・仕様
ギボシ端子 オス B-1 適用電線:0.50mm2~2.00mm2
ギボシ端子 メス B-2 適用電線:0.50mm2~2.00mm2
ギボシ端子 オス
24Kメッキ<金メッキ>仕様
B-1-24K 適用電線:0.50mm2~2.00mm2
ギボシ端子 メス
24Kメッキ<金メッキ>仕様
B-2-24K 適用電線:0.50mm2~2.00mm2
絶縁スリーブ B-3 電線側製品内径:φ2.5mm
絶縁スリーブ B-4 電線側製品内径:φ2.5mm

手順2:古い端子が付いているときの切断

圧着工具には電線を切るカッターが付いていますので、ニッパーなどの工具に持ち替える事なく作業ができます。

手順3:電線に絶縁スリーブを通す

先に端子を付けてしまうとスリーブが通らなくなりますので、最初に絶縁スリーブを通します。(本マニュアルはオス端子から施工しますが、メス端子を先に施工しても問題ありません。)

手順4:電線の被膜を剥く

芯線の太さに合わせて歯を選びます。被覆を剥く長さは、端子の圧着部の長さより1mmほど長め(4~5mm)にします。

手順5:電線の芯線を圧着(1)

ギボシ端子(品番:B-1)の芯線圧着部中央を軽く挟んで固定し、電線を芯線圧着部に挿入します。

手順6:電線の芯線を圧着(2)

手元の「CLOSE→←HERE」が閉じるまで強く握って芯線を圧着します。

手順7:電線の被膜を圧着

INS(インスレーション〔絶縁被覆〕)圧着用歯型に挟み変えて圧着します。

手順8:仕上がりを確認して、絶縁スリーブをセットします

絶縁スリーブを端子側に挿入します。この時、下図のように絶縁スリーブの所定の位置に端子INS圧着部が確実にはまるよう注意します。

YouTube(整備士も間違えるギボシ端子の正しい交換方法をプロが教えます)

(YouTubeチャンネル「メカニックTV」様 掲載許諾済)

よくあるお問い合わせ

ギボシ端子を圧着する(かしめる作業)には、圧着工具(電工ペンチ)は別途必要ですか?

圧着工具(電工ペンチ)は必ず別途必要です。端子に適した工具を使用することで、電線とギボシ端子を確実に圧着(かしめる作業)し、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を安定的に固定できます。これにより、通電の信頼性を長期的に確保できます。

なお、圧着工具には、端子の圧着部を適切な形状(なめらかなM字形)で圧着できる専用の歯型が備えられています。一方で、一般的なペンチなどでは適切な形状で圧着できず、接触不良や電線の抜けといった不具合の原因になります。

ギボシ端子の圧着(かしめる作業)では、どの部分を圧着するのですか?

ギボシ端子には、電線を固定するための「バレル」と呼ばれる部分が2か所あります。

・ワイヤーバレル
電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を強く圧着(かしめ)し、電気的な導通を確保します。

・インスレーションバレル
電線の被覆(絶縁体)を押えるように軽くつぶし、ワイヤーバレル部にかかる引っ張る力や振動を吸収・軽減します。

「ワイヤーバレル」および「インスレーションバレル」の2か所を正しく圧着(かしめる作業)することで、安定した電気接続と機械的な固定が両立されます。

電線の被覆はどのくらい剥(む)けばよいですか?

ギボシ端子のかしめ部(ワイヤーバレル)に対して+1.0mm~1.5mm程度を目安に剥(む)いてください。長すぎても短すぎても不具合の原因になります。

被覆をむいた電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱うときの注意点はありますか?

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)を扱う際には以下の点に注意してください。

・芯線を素手で長時間触れないこと
手の汗(塩分)や皮脂(油分)、汚れなどが付着すると、時間の経過とともに酸化や腐食が進み導通不良などの原因となります。(10円硬貨と同じです)

・できるだけ早くギボシ端子に差し込む
被覆を剥(む)いた電線の芯線はできるだけ触らず、すぐにギボシ端子に差し込み、圧着工具で圧着(かしめ)してください。

⚠️芯線がばらけた場合の整え方
芯線が少しばらけたら、軽く指で揃える程度であれば触れても問題ありません。大切なのは、芯線をギボシ端子にまっすぐ挿入できる状態に整えることです。

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじって(ツイストして)まとめたり折り曲げてもよいですか?

電線の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)をねじるのは避けてください。均一に圧着(かしめる)できず、芯線をねじったり折り曲げると、圧着(かしめる)作業の際にワイヤーバレルが芯線を傷つけたり切ってしまう恐れがあり、接触不良や断線の原因になります。また、ギボシ端子の内部で芯線が偏ると均一に圧着(かしめ)できず、抜けやすくなる恐れもあります。芯線はまっすぐに揃えて端子へ差し込み、圧着工具で正しく圧着(かしめ)してください。

絶縁スリーブはどのタイミングで通すのですか?

特に決まりはありませんが、ギボシ端子を圧着(かしめる作業)前に電線に通すようにしてください。おすすめは(電線切断後)絶縁被覆を剥く(むく)前に予め通すことで、芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)がばらける心配がありません。

【ご参考】
通常の絶縁スリーブではギボシ端子の圧着後では通しにくくなりますが、圧着後からでも通すことができる後入れタイプの絶縁スリーブ(品番:B-3A・B-3AL・B-4A・B-4ALもご用意しております。

一度、圧着(かしめる作業)したギボシ端子が抜けた場合に再利用はできますか?

既に圧着(かしめる作業)を行ったギボシ端子の再利用はできません。既に変形した端子では適切な圧着ができず、接触不良や緩みの原因になります。変形した端子は再利用せず、新しいギボシ端子に交換して再圧着(かしめ直し)してください。

⚠️ギボシ端子が抜けた部分の芯線(電気を流すための細い銅線を何本も集めた導体部分)に傷や損傷がある場合には、電線も傷や損傷のない(新たに被覆をむいた)芯線部分をご使用されることを推奨いたします。

ご注意事項

以下の記載項目につきましては厳守願います。火災・感電・怪我・破損、圧着不良の原因となります。

  • 適用電線および適用端子以外の圧着については十分な性能が得られません。弊社ホームページ内の製品カタログ、および総合カタログ内の端子適用工具欄をご参照の上、製品のご使用を願います。
  • 本製品の可動部には使用頻度に応じて注油を実施してください。また、作業終了後には油を含ませたウエス等で工具金属部を拭き取り、錆が発生しないように保管を行ってください。
  • 本製品で圧着する際には、手動以外の強い力(製品自体を叩いたり、万力で挟むなど)を加える等、本来の使用目的とは異なるご利用はお控えください。
  • 本製品は自動車配線用途におけるご使用を前提に製造しております。左記用途以外でのご利用はお控えください。
  • 本製品の割れ・欠け・摩耗・変形等の異常が認められた場合には直ちに製品のご使用を中止し、新しい製品への交換を実施してください。
  • 本製品を分解したり改造したりすることは、絶対に行わないでください。
  • 確実に結線し、絶縁処理を行ってください。
  • 端子の接続後は定期的に確認を行ない、異常等があれば速やかに交換を実施してください。